高低差のある土地にも家は建つ~外構の注意点 心エクステリアデザイン

 

弊社のある横浜市は、坂道が多いことで有名です。

起伏のある土地を宅地として開発したためか、住所にも丘や台、山と名のつくケースが多く見られます。

そうなると、傾斜地や高台にある土地に家を建てることになります。

道路面から高低差があったり、隣地との間に段差が生じたりすることになるでしょう。

坂道に隣接した土地だと勾配が気になります。

それらは、平坦地と比べて特殊な条件にあると言えます。

そのような土地の場合の外構はどうなるのでしょうか。

考えてみましょう。


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高低差のある土地 / 平坦地と比べて考えられること

一般的に、傾斜地を平らに均す必要がある

当然ながら、建築物は水平が守られて建築されています。
建物が傾いていると、生活に支障があるだけでなく、人体へも影響を及ぼします。
森林や農地などを住宅などの土地にするための開発工事のことを宅地造成といい、切り土や盛り土等による斜面の平坦化などの工事を行います。

盛り土などで地盤が弱い場合、地盤改良が必要となる

斜面など高低差のある土地や部分的に変形した土地は、切り土や盛り土等の宅地造成を行います。
切り土は、山の斜面や山の一部を切り崩して平らに均し、土地をつくることです。
盛り土は、田んぼや沼地などの低い地盤や高低差のある斜面に対し、土砂を使って土地を高くして平らな土地を作りあげることです。
地盤の強度が高い切り土に比べ、盛り土は地盤が弱いことが一般的です。
地盤改良は、建物の建築にあたり、地盤沈下や不同沈下の影響を及びにくくするため、地盤に人工的な改良を加える工事のことです。

土砂の流出が生じる可能性があり、土留めが必要となる

法面や崖、盛り土などの崩壊を防ぐため、コンクリートブロックや石、現場打ちなどで土を留めることを土留めと言います。 
斜面や高低差のある場所では特に土留め工事が不可欠です。

周囲との高低差により、擁壁が必要となる

土を留めるための壁状の構造物を擁壁と言います。
土を留めるという意味では、擁壁も土留めのひとつです。
高低差が大きかったり、崖に隣接する土地では、土圧や水圧によって地盤が崩壊しないようにする役割も担っています。
工事内容によっては、都道府県知事等の許可を取得する必要があります。

 

高低差のある土地 / 外構に見る注意点

地面を設定した高さに整える必要がある

自然環境の影響を受けて、土は徐々に崩れて流れていってしまいます。
GL(ジーエル)という言葉をご存じの方もいらっしゃると思います。
グランドレベルあるいはグランドラインの略で、地盤面の高さのことです。
住宅などの建築時にはGLを設定して、地盤を一定に整える必要があります。
土が流れ出ないように防ぐ行為を土留めと言います。
土留めにはどのような方法があるのでしょうか。

擁壁をつくる

擁壁は、土を留めるための壁状の構造物で、コンクリートや石、ブロックで造られています。
細かくは、鉄筋コンクリート造擁壁(RC擁壁) 、重力式擁壁 、練積ブロック擁壁 、石積み擁壁 、型枠ブロック擁壁などに分類され、用途やコスト、強度などがそれぞれ異なります。

コンクリート擁壁

コンクリート擁壁

ブロック擁壁

石積み擁壁

一般住宅の外構では、型枠ブロック擁壁がよく用いられます。
型枠ブロックとは、ブロックの中に鉄筋を入れ、コンクリートを充填することで強度が増すようにするためのブロックです。
大きな擁壁には不向きですが、施工がしやすく、化粧をすることで、個性を出したり、耐久性を高めることも可能です。
また、デザイン性の高い型枠ブロックも発売されており、そのままでおしゃれに見せることのできる商品もあります。

法面処理を施す

法面とは、土木・建築工事において斜面のことを指し、高低差の土を斜めにすることで地盤の安定性や環境の保護を目的としています。
しかし法面は、自然の影響を受けやすく、崩壊や地滑りの危険性があり、何らかの処理が必要です。
処理の方法はいろいろありますが、一般住宅の場合に行う方法をご紹介します。

芝生

芝生を法面上に育成することで、根による保持力により、土砂の流出を防ぐものです。
景観がよく、自然な雰囲気を演出することができます。
芝生は周囲の風景を引き立たせ、緑豊かな癒しの空間が作られます。
ただし、環境条件によっては育ちが悪くなるかもしれません。
また、斜面の芝生は、維持管理が大変なのもデメリットと言えるでしょう。

割栗石

法面に割栗石を並べる方法もあります。
割栗石とは、岩石を砕いた150~200㎜ほどの石材です。
ごつごつとした形が特徴で、割栗石を並べることにより、石同士がかみ合って斜面が崩れにくくなり、土の流出や飛散を防いでくれます。
雑草対策としても効果を発揮しますが、落ち葉などの掃除には工夫が要るかもしれません。
角張った石なので、安全面にも注意が必要です。

防草シート

防草シートが貼られている法面をみかけることがあるかもしれませんが、雑草対策に重きを置いた施工です。
斜面の除草は大変なので、あらかじめ防草処理を施しておくと管理が楽になります。
風雨にさらされないという点では、土留めの効果も多少あるでしょう。
土質によっては防草シートが不向きな場合もあるので、確認が必要です。

 

道路面から玄関までのアプローチに階段が必要になる

高台にある家には、階段が必要です。

また、高低差や傾斜のある土地に家を建てる場合、深基礎となることがあります。
深基礎とは、通常より深く家の土台をつくることで、建物の高低差や傾斜を防ぐために行います。
土留めを兼ねた役割もあり、床下・床上浸水の耐性が強くなり、敷地の高低差を利用して駐車場などにも利用できます。
その場合、玄関が高い位置にあることになり、階段が必要になります。

勾配に気を付ける必要がある

傾斜地にある家で、駐車場が必要な場合には、勾配にも注意してみましょう。
一般的に駐車場には勾配があります。これは、雨水をうまく排水するためのものです。
理想的な勾配は2%と言われていますが、傾斜地に家がある場合や設計GLの高さ設定により、きつい勾配になる可能性があり、注意が必要です。
また、坂道からの車の出し入れが大変になる場合もあります。
気がかりなことがある場合は、専門の外構業者に相談することをお勧めします。

安全性を担保する必要がある

高いところに家がある場合には、落下防止にも気を配る必要があります。
強度のある転落防止柵や補強材の入った落下防止手すりがありますので、必要に応じて設置すると良いでしょう。
一般的なフェンスは、敷地同士の境界に設置し、それぞれの敷地を明確にするために立てられます。
そのため、人を支えるほどの強度がありません。
もし体重をかけることがあるならば、フェンスが破損するばかりでなく、重大な事故につながりかねません。
高低差のある場所にフェンスを設置する場合には、より一層の注意が必要です。

 

まとめ

お住まいを建てられる場合、立地条件は様々です。
広さ、形、周囲環境・・・その中には、高低差のある土地であることも考えられます。
高低差のある土地の場合に注意が必要なことがいくつかあります。
外構をつくる場合然りです。

安心安全な生活のためにも、立地条件を見極めて、外構計画を立てることをお勧めします。
皆様のエクステリアライフがより良いものとなりますよう、お祈りしております。

 

株式会社心エクステリアデザインでは、外構工事のご相談を承っております。
お気軽にお問い合わせ下さい。

 


この記事の監修は…

株式会社心エクステリアデザインの営業および設計担当きよです。

植物と樹木造形に惹かれ、植木職人として研鑽を積んだのち、エクステリア業界に参入。  
日々の暮らしに欠かせないエクステリアを、機能的かつ装飾的観点から追求。
今の要望を叶えることはもちろん、将来を見据えた提案をしています。

 

伊藤 聖臣

この記事の執筆は…

株式会社心エクステリアデザインの事務およびウェブ担当ともです。           

一昨年、マイホームを新築。
それまでエクステリアに無関心だったが、身近に外構の設計や施工に接して、
心豊かな生活のために良質のエクステリアが欠かせないことを実感。         
エクステリアの重要性を発信していきたいと考えています。